3.心身を縛る「怒り」

力みに気づく

入ったのは、人を相手にする福祉の世界。

否応なく自分の人間性がむき出しになる。

見たくない、知りたくない自分の欠点に限って目立つ感じがする。
しかもそこから目を背けることは許されない。

自分も相手も人間だからね。
喜ぶ、怒る、泣く、楽しむ、嫉妬する、恥ずかしがるetcの「感情」を持つから。

他者はもちろん自分とは違う。

仕事の中で利用者に、今こうしてほしいと思っても、相手は必ずしもそうしてくれるとは限らない。
福祉関係の現場ではこの連続。そういう場面でこそ職員の力が試されるし、スキル向上にもなる。

いまはそう思えるけど、就職間もない頃は違った。

その頃は怒りしかなかった。
「できない自分」への、ね。
人に当たるのとは違った怒り。

利用者の今日一日の過ごし方を考えて伝えても、その通りには動いてくれない。
相手に伝えているのに聞いてくれないってのは、正直かなりキツい。
否定、無視されてるとしか思えないからね。

それが怒りを増幅させる。
想像以上の仕事の厳しさ、怒りたくないのに怒る自分、怒ったことで傷つく自分、できない自分。

毎日毎日怒った。
デンタルマウスピースは噛みしめすぎて穴が開いた。

なんでこんなに怒るんだろう?力が抜けないんだろう?

就職後しばらくして、その原因にたどりつくことになる。
それは、これからどういう人間として生きていくか、にかかわる問題だった。

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